取扱説明書

Slipstream Live は、ブラウザがどれだけ先まで映像を読み込めているかを監視し、再生速度をほんの少しだけ上げ下げすることで、映像を止めずにライブ配信の「今」へ近づけ続けます。このページでは、インストール方法・すべての設定項目・うまく動かないときの対処をまとめています。

バージョン 1.1.0 YouTube Live ・ Twitch ・ ツイキャス

1 はじめに

ライブ配信で見えている映像は、配信者が実際にしゃべっている瞬間より必ず数秒遅れています。この遅れは回線が乱れるたびに増えていき、放っておいても縮みません。

Slipstream Live は、どれだけ先まで映像を読み込めているか(バッファ残量)を 1 秒間に約 50 回測り、再生速度をほんの少しだけ上げ下げすることで、映像を止めずに配信の「今」へ近づけ続けます。

こんなときSlipstream Live の動き
遅れているが、先の映像は十分読み込めている少しだけ加速(1.25x)して追いつく
読み込み済みの映像がほぼ尽きた0.15x まで落とし音量も下げて、完全停止を回避
問題なし何もしない(通常の 1.00x)

インストール後は、視聴中に何か操作する必要はありません。

2 動作環境

Manifest VersionV3
Chrome / Edge / Brave など Chromium 系v128 以降
Mozilla Firefoxv140.0 以降
Firefox for Androidv142.0 以降
対応サイトYouTube(m.youtube.comyoutube-nocookie.com を含む)、Twitch(player.twitch.tv を含む)、ツイキャス
UI 言語日本語・English・한국어・Deutsch・Español・Français・Português (BR)・简体中文・繁體中文(ブラウザの言語設定に追従)

3 インストール方法

3.1 Chrome / Edge / Brave など Chromium 系ブラウザ

Chrome ウェブストアからインストールします。

Chrome ウェブストアの Slipstream Live のページ
図 1a 「Chrome に追加」をクリックします。

インストール後、ツールバーのパズルピースのアイコンから Slipstream Live を固定しておくと、アイコンが常に表示されて便利です。

Chrome のパズルピースメニューから拡張機能を固定する
図 2a Slipstream Live の右にあるピンのアイコンをクリックします。

3.2 Firefox

Firefox アドオンからインストールします。

Firefox アドオンの Slipstream Live のページ
図 1b 「Firefox へ追加」をクリックします。Android 版 Firefox(142.0 以降)でも同じページから導入できます。
Firefox でツールバーにピン留めする
図 2b ••• メニューから「ツールバーにピン留め」を選びます。

3.3 ソースからインストールする場合(開発者・手動インストール向け)

Chromium 系ブラウザ

  1. リポジトリを ZIP でダウンロードして解凍します(git clone でも構いません)。
  2. アドレスバーに chrome://extensions と入力して開きます。
  3. 画面右上の「デベロッパー モード」をオンにします。
  4. 「パッケージ化されていない拡張機能を読み込む」をクリックし、解凍したフォルダ(manifest.json が入っている階層)を選びます。

Firefox — 一時的な読み込み(Firefox を閉じると消えます)

  1. アドレスバーに about:debugging#/runtime/this-firefox と入力して開きます。
  2. 「一時的なアドオンを読み込む…」をクリックします。
  3. 解凍したフォルダ内の manifest.json を選択します。

Firefox — 恒久的なインストール(Developer Edition / Nightly 限定)

  1. フォルダの中身を ZIP 圧縮します。
  2. about:configxpinstall.signatures.requiredfalse に変更します。
  3. about:addons の右上の歯車から「ファイルからアドオンをインストール…」で ZIP を選びます。

3.4 動作確認

  1. YouTube・Twitch・ツイキャスのいずれかでライブ配信を開きます。アーカイブやクリップでは動作しません。
  2. ツールバーの Slipstream Live アイコンをクリックします。
  3. 「全サイト共通」パネルで「再生速度倍率を表示」をオンにします。
  4. プレイヤーのコントロールバーに小さく 1.00x と表示され、動作に応じて色が変われば成功です。
YouTube のコントロールバーに表示された 1.00x のバッジ
図 4 通常状態の再生速度倍率バッジ。

4 各部の名称(設定画面)

ツールバーのアイコンをクリックすると設定画面が開きます。同じ画面は、ブラウザの拡張機能管理画面から「オプション」として独立したタブで開くこともできます。

Slipstream Live の設定画面
図 5 既定値の状態の設定画面。以下の表の番号はこの図に対応します。
番号名称説明
1アイコン・タイトルアイコンをクリックするとプロジェクトページが開きます。名前の右にバージョン番号が表示されます。
2再生速度を変更するマスタースイッチ。オフにすると制御もバッジ表示もすべて停止します。「全サイト共通」の印が付いています。
3サイトタブYouTube / Twitch / TwitCasting。それぞれ別々に値を保存し、今開いているサイトのタブが自動で選ばれます。
4サイト別設定パネル選択中のサイトの、加速に関する設定と最低速度に関する設定。
5? ボタンその項目のわかりやすい説明が開きます。
6リセット · サイト名選択中のサイトの設定だけを既定値に戻します。
7全サイト共通パネルプレイヤー上のバッジ 3 種類のスイッチ。
8リセット · 全サイト共通全サイト共通の設定を既定値に戻します。
Twitch タブを選択した設定画面
図 3 サイトタブを切り替えるとパネル全体が入れ替わります。Twitch タブには既定値についての注釈が加わり、アクセントカラーもサイトごとに変化します。
? ボタンから開いたヘルプの吹き出し
図 6 ? をクリックすると、その項目の説明が表示されます。

5 バッジの見かた

3 種類のバッジはいずれも既定でオフです。「全サイト共通」パネルでオンにしてください。表示位置はプレイヤーのコントロールバー内で、コントロールバーが見つからない場合はプレイヤー左上の小さな黒い帯に切り替わります。

バッジ表示例意味
再生速度倍率1.25x実際の再生速度。文字色で現在のモードがわかります。
遅延秒数1.50s配信の最先端からどれだけ遅れているか。巻き戻して視聴中(追っかけ再生)は遅延の数値に意味がないため、数値の代わりに (DVR) と表示されます。
バッファ残量2.50s何秒先まで読み込めているか。+9s が付く場合、隙間の向こうにさらに読み込み済みの映像があります。
3 種類のバッジを同時に表示した状態
図 7 左から順に、再生速度倍率・遅延秒数・バッファ残量。
追っかけ再生中のバッジ表示
図 7b 巻き戻して視聴中は遅延秒数が (DVR) になります。この例ではバッファを 62.41 秒、さらに隙間の先に 9 秒ぶん読み込んでいます。

6 3 つの制御モード

モード優先度バッジ色速度発動条件
Floor(最減速)最高#83c1ff0.15x(固定)バッファ枯渇の直前。緊急ブレーキ+音量ダッキング。
Speedup(加速)#ff89831.25x(既定)バッファに十分な余裕がある。最先端へ追いつく。
Normal(通常)#eee1.00x何もしない。

優先度の高いモードが常に優先されます。Floor の 0.15x は安全装置なので、意図的に変更できないようにしてあります。

赤い 1.25x の再生速度倍率バッジ
図 9 加速中。赤は Slipstream Live が遅れを詰めていることを示します。
青い 0.15x の再生速度倍率バッジ
図 10 最減速中。青はバッファが尽きかけ、最低速度まで落として耐えている状態です。

各しきい値には現在のモードへ留まる向きにヒステリシスが掛かっており、境界ちょうどで倍率と音量が細かく往復しません。幅は「バッファ閾値を自動調整する」の段階に連動し、オフ・標準では 0.1 秒、積極的では 0.05 秒です。

制御しないもの

7 設定項目一覧

7.1 サイト別設定(サイトごとに別々に保存)

設定項目範囲 / 刻みYouTubeTwitchTwitCasting説明
遅延時に加速するON / OFFONONON追いつき機能のスイッチ。
遅延時の再生速度1.05x〜4.00x / 0.051.25x1.25x1.25x加速時の倍率。大きいほど速く追いつけますが、バッファ消費も増えます。
加速するバッファ閾値(秒)0.1〜100.0 / 0.110.010.010.0自動調整がオフのときだけ使われます。この秒数まで読み込めていたら加速します。
バッファ閾値を自動調整するオフ / 標準 / 積極的標準標準標準加速して安全かどうかを Slipstream Live に判断させます。推奨。
バッファ枯渇時に最低速度するON / OFFONONON0.15x の緊急ブレーキのスイッチ。
最低速度する閾値(秒)0.0〜10.0 / 0.10.80
(FF 1.00)
2.00
(FF 0.50)
0.10
(FF 0.30)
バッファ残量がこれを下回っている間 0.15x にします。
最低速度中は音量を下げるON / OFFONONON0.15x の間だけ音量を絞ります。
最低速度中の音量(%)0〜100 / 5303030今の音量に対する割合。100 で変化なし、0 で無音。

FF = Firefox での既定値。Firefox はバッファ残量の報告のされ方が異なるため、専用の値を持ちます。YouTube とツイキャスでは大きめ、Twitch では逆に小さめと、方向は一律ではありません。

Twitch の閾値だけ大きいのはなぜ? Twitch では映像データの到着が 10 秒ほど途切れることがあります。実際に止まる前に反応できるよう、既定値を大きめにしています。

7.2 「バッファ閾値を自動調整する」の 3 段階

段階谷を貯める窓安全余裕係数下限への上乗せヒステリシス性格
オフ0.1s自動調整せず「加速するバッファ閾値」をそのまま使います。
標準30s50.3s0.1s長い窓と大きな係数で慎重に判断します。既定値。
積極的5s30.1s0.05s短い窓で直近の余裕へ素早く反応し、遅れをより詰めます。
3 段階スライダーとツールチップ
図 11 スライダーをドラッグして段階を選びます。カーソルの近くに段階名が表示されます。

7.3 全サイト共通設定

設定項目既定値説明
再生速度を変更するONマスタースイッチ。オフにすると Slipstream Live は完全に停止します。
再生速度倍率を表示OFF現在の再生速度をプレイヤー内に表示。
遅延秒数を表示OFF最先端からの遅れを表示。
バッファ残量を表示OFF何秒先まで読み込めているかを表示。

8 動作の仕組み

Slipstream Live は 20 ミリ秒ごとにバッファ残量(何秒先まで映像を読み込めているか)を測り、その値から 3 つのモードのどれかを選びます。

難しいのは「いつ加速して安全か」の判断です。バッファ残量は一定ではありません。映像は「セグメント」という数秒単位の塊で届くため、塊が届いた瞬間にドンと増え、再生とともにすーっと減っていきます。グラフにするとのこぎり波の形になります。たまたま山(ピーク)を見て「余裕たっぷり」と誤解して加速すると、直後の谷でバッファを使い切って映像が止まります。

そこで Slipstream Live は、1 回の測定値を信じる代わりに、配信ごとに自動調整される窓で谷の位置を統計的に推定し、その余裕が「確保したいバッファ量」を上回っている間だけ加速します。安全係数を大きく取っているため、谷が安定して同じ高さでないと余裕は生まれず、回線が不安定なときは自然と加速が抑制されます。データが足りない間は「わからないので何もしない」が自動的に成立します。

この判定の上に、ひとつだけ近道があります。残量が 20 秒(「最低速度する閾値」を大きくしている場合は「確保したいバッファ量+10 秒」のうち高いほう)を超えている間は、谷の推定を待たずに加速し、15 秒を下回ると従来の判定へ戻ります。シーク直後はバッファの埋め直しが速すぎて統計が一時的に使えなくなるため、その場面でも反応を保つための仕組みです。近道が働くのは自動調整が「標準」「積極的」のときだけです。

バッジの再描画は毎秒 10 回までに抑えられ、統計もすべて平滑化されているため、速度が目に見えてばたつくことはありません。制御対象が見つからない間は 1 秒周期の探索モードへ落ち、やがてタイマーを完全に停止してメディアイベント待ちへ移ります。タブが表に戻った瞬間にも一度だけ実行されます。

セグメント長を知らずに谷を求める方法など、数式を含む詳細は README にあります。

9 困ったときは

まったく加速しない

自動調整はわざと慎重に作ってあります。回線が不安定だと「加速は危険」と判断するためです。まず「バッファ閾値を自動調整する」「積極的」に変えてみてください。それでも足りなければ「オフ」にして「加速するバッファ閾値(秒)」を手動で設定します。15〜20 秒あたりから始めて、様子を見ながら下げるのがおすすめです。

シーク直後、バッファは十分あるのに 1.00x のまま

バージョン 1.1.0 以降であることを確認してください。このバージョンから、バッファ残量が 20 秒を超えていれば谷の統計を待たずに加速します。シーク直後は読み込みが一気に進むため、統計がしばらく使えない状態になるためです。

最低速度(0.15x)に入る頻度が高い

手動閾値を大きめにするか、「遅延時の再生速度」を下げてバッファの消費を緩やかにしてください。「最低速度する閾値(秒)」を下げれば発動は遅くなりますが、実際に映像が止まるリスクは上がります。

何も起こらない

「再生速度を変更する」がオンになっているか、VOD やクリップではなくライブ配信を見ているか、プレイヤーのメニューで再生速度を手動変更していないかを確認してください。

ツイキャスで何も起こらない

低遅延配信を見ていないか確認してください。低遅延モードは WebRTC で配信されるため、Slipstream Live の制御対象外です。プレイヤー側の設定で低遅延をオフにすれば動きます。

バッジが表示されない

既定ではオフになっています。「全サイト共通」パネルでオンにしてください。サイトのコントロールバーが見つからない場合は、プレイヤー左上に小さな黒い帯として表示されます。

Twitch の映像だけエラーで止まる・固まる(Slipstream Live とは無関係の場合)

Slipstream Live は再生「速度」を調整するだけなので、映像が完全に止まったり「エラー #〇〇〇〇」が出たりするのは、たいてい Twitch やブラウザ側の問題です。次を上から順に試してください。

  1. status.twitch.com で Twitch 側の障害情報を確認する。
  2. シークレットウィンドウCtrl+Shift+N / Mac は Cmd+Shift+N)で同じ配信を開く。直るなら原因は拡張機能かキャッシュです。
  3. 拡張機能、特に広告ブロッカーを一度すべてオフにする。Twitch は広告を映像そのものに埋め込んでいるため、広告ブロッカーが原因のことが非常に多いです。
  4. chrome://settings/help から Chrome を最新版に更新する。公式サポートは最新 2 バージョンのみです。
  5. Ctrl+Shift+Delete(Mac は Cmd+Shift+Delete)でキャッシュと Cookie を削除する。

それでも画面が固まる・真っ黒になる場合は、chrome://settings/system「ハードウェア アクセラレーション」を今と逆に切り替えて再起動してみてください。直らなければ元に戻してください(常時変更しておく設定ではありません)。

Twitch 公式の情報も参考になります: 再生に関する問題のトラブルシューティング対応するブラウザビデオ再生の問題を報告する方法

10 デバッグログの取得方法

不具合を報告する際、デバッグログがあると原因の特定が容易になります。

  1. 配信ページを開き、F12 でブラウザのコンソールを開きます。拡張機能のコンソールではありません
  2. 下の 1 行を実行します。
  3. 症状が出ている状態で 30 秒ほど待ち、出力をコピーします。
window.__slipstreamliveDebug = true;

1 秒ごとに、現在のモード・実再生速度・バッファ残量・短期統計・谷の統計・room の計算式・近道の基準値 ample・超過消費の累積 drift・定常判定 calm が出力されます。

11 プライバシー

Slipstream Live は外部との通信を一切行いません。要求する権限は次の 2 つだけです。

解析・テレメトリ・識別子・広告は一切ありません。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。

12 お問い合わせ

用途窓口
不具合の報告GitHub Issues(バグ報告テンプレート)
質問・機能要望・対応サイトの追加要望・翻訳の指摘GitHub Discussions
脆弱性の報告GitHub Security Advisories(非公開で報告)

脆弱性は非公開でご報告ください。公開 Issue は事実上エクスプロイトの公表になります。

不具合報告時は、サイト・ブラウザとバージョン・拡張機能のバージョン・OS・起きたこと・再現手順・既定値から変更した設定、可能であればデバッグログを添えてください。

13 ライセンス

Apache License 2.0 または MIT License のデュアルライセンスです。どちらか好きな方を選んで利用できます。